新宿駅最後の小さなお店ベルク

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起業を考えているわけでもなく経営に関心があるわけでもない、ビジネス書なんてまず読む事がないワタシがどういった経緯でこの本を知ったのか、ついちょっと前のことのはずなのに忘れてしまいました。 でも、タイトルを見て、そしてパラパラっと店頭で立ち読みをして「読んでみたい!」と思ったことだけは覚えてる。

画一化されたファーストフード店やチェーン店が幅をきかせている新宿にあって、努力され、孤軍奮闘されている姿に、判官びいきの気持ちが芽生えたからだったと思います。 
個人店が繁盛店になるために必要な条件は何か?と言ったようなビジネス的な視点ではなくて、ただ普通に考えて、どうしてこんなに繁盛していて、利益を出している店が立ち退きを迫られてしまっているのか?という疑問や小さな憤りの気持ちが湧いたからです。


本の中に新宿西口のホームレスの方々について書かれた記述があります。

「一年間毎日通いました。ホームレスのことが、それまでも何かと気になっていたのです。ときおり店の前に座っていたり、中に入ってきたりしましたが、なかなかどう対応していいのか悩みました。彼らのことをある意味、特別視していたのでしょう。恐れてもいました。わからないから怖かった。
でも、ダンボール村はもう村ですから、まずは訪れてみようと。そうしたら、村の人たちから招いてもらえるようになりました。彼らは私たちとなんら変わらないことに気がつきました。同じ一人の人間です。」

「ダンボール村に通うようになってから、店でも彼らへの対応が変わりました。まず違うのは、むやみに怖がらなくなったことです。そして、はっきりとこちらの考えを伝えられるようになりました。例えば、店の前で寝ていたら「時間ですよ」と起こしたり。・・・・ダンボール村で知り合ったホームレスたちが、今でもお客様としていらしてくれます。私も、お客様として過ごしていただきます。・・・線引きしていたのはこちらの方だったのですね。お客様にもそれが伝わってしまったのかもしれません。あのとき謝ることができて本当に良かったと思います。」

そしてその後に、私が印象に残った記述が。
本当の接客とは、その人の不安をとりのぞいてあげることではないか。
心から迎え入れてあげる気持ちが相手に伝わる。・・・」


今の私に響いた言葉でした。私はべつに接客業をしているわけではないけど、個人的な人と人とのおつきあいにおいてもあてはまる大事なことのように思えて。  自分の心の弱さ(過去の苦い経験から来る不安感)ばかりが勝ってしまって、相手の心の不安が見えなくなってしまうことがあるから。

それに、東京という街は大阪にくらべて、ホームレスとか弱者の人に対して冷たいイメージがどうしてもあったので(こういう私でさえ、もし実際に店員であればこういう人たちに対して冷たくあしらってしまう可能性が大きいような気がします)、こういう人間味のある懐の深い接客、そして店作りをされているベルクの方にとても好感が持てたし、だからよけいに、こんなお店がずっと都心、新宿という街の一角にあり続けてほしいなあと思いました。


ベルクのコンサルタントをされ、店長も格別の信頼を寄せておられる外食業コンサルタントの押野見先生が巻末に寄せられている解説の中で、
勝つ店には必ず共通する要因がひとつある。・・・「お客に喜ばれたい」という意識で、これがあるかないかで成否が決まる。」

「繁盛店といわれる多くの店の出発点を見ると、ほとんどのケースで経営者自身が、自分ならこうされたら喜ぶ、という思想のもとに店作りをしている。 お店の儲けは後回し、先にお客に喜んでもらうなどとはチェーンは死んでもできない発想。・・・」

最近チェーン店のファミレスなども不振だと聞きます。押野見先生も言われているように、これからはまた個人店の時代になっていくと思うし、その兆しも少しずつ出てきているように思います。


それなのに、現在、このベルクは、来年の3月までに退去するようビル側(ルミネ)から命じられているそうです。

だいたい、マーケティングがちがちの表面的な「イメージ戦略」なんて、バブルの時代、長くみても90年代までのもので、逆にものすごく時代遅れなんでは ???と思ってしまうのは私だけではないはず。 イメージ先行の店を短期間でとっかえひっかえしていくというやり方自体も、もう古いんちがうかな ?


人づきあいと同じ、表面だけの利用しやすさ、入りやすさではなくて、スタッフ、お客さん、ビルオーナー、近隣の人、みんなでじっくり育てて永くおつきあいしていく方が、みんな幸せになれる方向に向かって行くと思うし、この不安で先の見えない時代、そんなあたたかいお店を今はもうみんな望み始めているんじゃないかなあ。。。


今度東京に行った時には、かならずベルクに寄ってみようと思います。
頑張っておられる小さなお店や企業が、今よりももっと報われる世の中になってほしいと願います。


ベルグの応援サイト はコチラ です。
ここからお店のHPにも行けます。

新宿駅最後の小さなお店ベルク 個人店が生き残るには? (P-Vine BOOks)
井野朋也(ベルク店長) / / ブルース・インターアクションズ
ISBN : 4860202775





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by manasavvy | 2008-10-19 19:48 | ・本・マンガ・雑誌


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