オリヲン座からの招待状

f0138409_0362084.jpg「ALWAYS 続・三丁目の夕日」に続きまたまた、仕事帰りのレディース・デイに映画を観て来ました。

「オリヲン座からの招待状」。
昭和の時代から現代まで長年に渡って営業を続けてきた小さな映画館オリヲン座が閉館することになり、それまでの話や最後の営業日に起こる温かい奇蹟を描くというストーリー。

これはぜったいに観たいと思っていました。浅田次郎さん原作の映画ではずっと以前に「鉄道員」を観たことがあるのですが、同じようにせつなくて、それでいて人間の存在がとても愛しく感じられる‘大人の童話’のような映画だったらいいのになア、と思いながら。



ネットに投稿されていた否定的な感想をちらっと読んでいたこともあり、期待し過ぎずに観たのがかえって良かったのかも知れませんが、ワタシはこの映画好きです☆


もちろん、正直うーん^^;、という点がないわけではありません。
そのひとつが、主人公の豊田トヨ役を演じている宮沢りえの撮り方。
りえちゃん、仕草から何から可愛過ぎ(笑)。撮る方が美しさや可愛さを強調して撮ろうとし過ぎてるように思えてなりませんでした。全部が全部のシーンがこうだったわけではないのですが、もう少し自然で地味めの演技(仕草)やカメラワークの方がストーリーの持つ叙情性が引き立って良かったような気がします。普通にしてても宮沢りえちゃんは十分美しくて可愛いのだから、逆にもったいないなあと思って。途中でりえちゃんの顔つきや服装がオードリ−・ヘップバーンに見えてしょうがない時がありました。

もうひとつは、ラストシーン。予想がつくシーンだったのですがそれであっさり終わり→エンドクレジットというのではなくて、もう少し余韻が残るような終わり方にはできなかったのかなあというのが悔やまれました。これで終わりではないはず、もう1、2シーンはあるはず、と思ってエンドクレジットが流れてる間もシーンが挿入されるのを待っていたぐらいです。


でもその2点を除くと、ワタシの中ではほぼカンペキ、もしかしたら「鉄道員」以上にせつなくて愛おしい映画だなあと思いました。


特に昭和30年代と現代、それぞれの時代の仙波留吉役を演じたふたりの俳優、加瀬亮さんと原田芳雄さんがすごく良かったです。

夫を亡くしたトヨに優しく寄り添い、心の中にトヨへの思いを抱きながらストイックなまでに以前のままの「館主の妻」と「弟子」という関係を守り続ける留吉。そのことでトヨへの秘めた愛情がかえってせつないぐらいに強く表れていたように思います。
それが表面にあふれ出たのが、ふたりの関係を疑い良からぬ噂や陰口を話す近所の人と、トヨをかばってケンカになるシーンと、足をケガしたトヨをおぶって病院に向かうシーン。
おんぶされるのを恥ずかしがるトヨに「(恥ずかしがる必要はない)僕らは夫婦・・・も同然なんやから」と言葉を選んで口ごもりながら話す姿に、見ているこちらの方が胸がきゅんとなりました。
どのシーンを思い返しても加瀬亮さん扮する留吉は行動や表情のひとつひとつ、セリフのひとことひとことがせつなくて。この役柄はハマり役だったと思います。



そして何と言っても泣かされたのは原田芳雄さんの演じる留吉の場面・・・。

映画の冒頭に、トヨの見舞いに来た病院の廊下をとぼとぼ歩く年老いた留吉の姿が映し出されるシーンがあるのですが、廊下ですれ違う医師、看護士みんなにいちいち頭を下げながら歩いているのです。
これを最初見た時はただたんに、年老いた留吉の様子を表現しているだけなのかなあと思っていたのですが、加瀬亮さんが演じていた若い頃のいきさつや場面、留吉の人となりをひととおり見た後にこのシーンをふっと思い返した途端、泣きそうになりました。
廊下ですれ違う人すれ違う人にいちいちそのつど立ち止まっておじぎする姿は一見するとこっけいですが、そこにもまた不器用で一途で誠実すぎるぐらい誠実にしか生きられない留吉の生きざまが表れているような気がしてせつなくて....


映画全盛の時代以来、久々に満員になった客席。そして最後のオリヲン座の映画を見せてやるために若い時のようにおんぶして入院していた病院から連れ出して来た最愛のトヨ。
そんな人々にそしてオリヲン座という生涯をかけて守ろうとした映画館そのものに見守られながら、最後の作品を上映する前にオリヲン座館主として留吉がお客の前で挨拶する姿。

詳しくはあえて書きませんが、その時のセリフ、万感こみあげて泣きながら挨拶する留吉の姿は本当に感動的でした・・・。


映画館からの帰り道、前に書いたラストシーンの物足りなさなどが通り過ぎた頃、再びせつなさがよみがえって来て、ささやかな人生でも何かのために懸命に生きている人々ひとりひとりの人生、そして自分の人生までもがとても愛おしく思えました。
そして「映画」や「映画館」という存在そのものが何とも言えず愛おしくなる、そんな映画でした。



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by manasavvy | 2007-11-17 00:37 | ・映画・DVD・アニメ・TV番組


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